「特別養護老人ホームで5年勤務」とだけ書いた職務経歴書は、採用担当者からすると情報がほとんどありません。同じ特養でも、定員が30名のユニット型か100名の従来型か、夜勤が月4回か月7回かで、身についている技術も体力もまったく違うからです。
介護職の職務経歴書は、一般企業向けのテンプレートをそのまま使うと、肝心の「どんな現場で、何を、どのくらいやってきたか」が伝わりにくくなります。施設長や人事担当者が最初に見るのは、施設形態・利用者の介護度・夜勤体制の3点だと言われています。
この記事でわかること
- 介護職の職務経歴書に必ず入れる項目と基本構成
- 特養・老健・デイサービス・訪問介護など施設形態別の書き方と例文
- 未経験・ブランクあり・介護福祉士取得後など状況別のポイント
- 採用担当者に響く自己PRの例文と数字の入れ方
- 書類選考で落ちやすいNG例と提出前チェックリスト
介護職の職務経歴書の基本構成 5つのブロック
A4用紙1〜2枚にまとめるのが一般的です。パソコン作成が主流ですが、手書き指定がある事業所もあるため、応募要項を必ず確認しましょう。
| ブロック | 書く内容 | 目安の分量 |
|---|---|---|
| 1. 職務要約 | 経験年数・施設形態・得意分野を3〜4行で | 100〜200字 |
| 2. 職務経歴 | 勤務先ごとに施設概要・担当業務・実績 | 1社あたり200〜400字 |
| 3. 保有資格 | 介護福祉士・実務者研修・初任者研修・普通自動車免許など | 取得年月を正式名称で |
| 4. 活かせる経験・スキル | 認知症ケア・看取り・記録ソフト・リーダー経験など | 箇条書き3〜5項目 |
| 5. 自己PR | 強みと具体的なエピソード、応募先での活かし方 | 200〜300字 |
職歴欄は「施設概要→担当業務→数字」の順に
職務経歴で最も差がつくのが施設概要です。施設名と在籍期間だけでなく、次の情報を書き添えると、採用側が配属先をイメージしやすくなります。
- 施設形態:特別養護老人ホーム(従来型/ユニット型)、介護老人保健施設、グループホームなど
- 定員・利用者数:入所定員80名、1フロア20名担当など
- 介護度の幅と認知症の割合:要介護3〜5中心、認知症の方が約7割など
- 勤務形態:夜勤月4〜5回(16時間夜勤・2名体制)、日勤のみなど
- 役割:フロアリーダー、新人指導担当、委員会活動など
施設形態別の職務経歴書の例文 特養・老健・デイ・訪問

特別養護老人ホーム(特養)の例文
例文:社会福祉法人◯◯会 特別養護老人ホーム◯◯(2021年4月〜現在)。従来型・入所定員80名、要介護3〜5の方が中心で、認知症の方は約7割。食事・入浴・排泄介助、移乗介助、ケース記録を担当。夜勤月4〜5回(2名体制)。2024年よりフロアリーダーとして職員8名のシフト作成と新人2名の指導を担当し、看取り介護にも年間10件程度関わりました。
特養は重度の方の身体介護経験が強みとして評価されやすいので、看取りや医療的ケアとの連携経験は具体的に書いておきましょう。
介護老人保健施設(老健)の例文
例文:医療法人◯◯ 介護老人保健施設◯◯(2020年10月〜2025年3月)。入所定員100名・在宅復帰率50%超の在宅強化型施設。リハビリ職と連携し、生活リハビリを取り入れた介助を実施。月1回の多職種カンファレンスで介護職の立場から意見を出し、退所前訪問にも同行しました。
老健では「多職種連携」と「在宅復帰支援」がキーワードです。看護師やリハビリ職とどう関わったかを一文入れると説得力が増します。
デイサービス(通所介護)の例文
例文:株式会社◯◯ デイサービス◯◯(2022年4月〜現在)。定員30名、要支援1〜要介護3の方が中心。送迎(ハイエース運転・1日2便)、入浴介助、レクリエーションの企画運営を担当。季節行事の企画を年4回任され、利用者アンケートの満足度向上に取り組みました。
訪問介護(ホームヘルパー)の例文
例文:株式会社◯◯ ヘルパーステーション◯◯(2019年6月〜現在)。1日平均5〜6件を訪問し、身体介護と生活援助を担当。担当利用者は常時15名前後で、独居高齢者や認知症の方の支援経験があります。サービス提供責任者の補佐として、訪問介護計画書の作成補助も行いました。
訪問介護は一人で判断する場面が多い仕事です。「緊急時にケアマネジャーへ報告し、受診につなげた」といったエピソードは、判断力のアピール材料になります。
状況別の書き方 未経験・ブランク・資格取得後

未経験から介護職に応募する場合
介護経験がなくても、前職の経験は十分に活かせます。接客業なら「相手の表情から要望をくみ取る力」、事務職なら「正確な記録・報告」、製造業なら「手順を守る安全意識」など、介護の現場で求められる力に言い換えて書きましょう。家族の介護経験がある場合は、無理のない範囲で簡潔に触れるのも一つの方法です。
ブランクがある場合
育児や家族の介護で離れていた期間は、空白のままにせず「育児のため離職(2022年4月〜2025年3月)」と理由を一行で書きます。そのうえで、復帰に向けて受けた研修や、最新の介護記録ソフトへの対応意欲などを添えると、採用側の不安を和らげられます。
介護福祉士・実務者研修を取得した直後の場合
資格欄には正式名称と取得年月を書き、職務要約にも「2026年に介護福祉士を取得」と明記しましょう。2026年6月の介護報酬臨時改定で処遇改善の仕組みが拡充され、有資格者を評価する事業所が増えています。資格取得を機に、リーダー職や待遇の良い施設へステップアップを狙う好機と言えそうです。
パート・扶養内勤務の経験を書く場合
週3日勤務などの短時間勤務でも、担当業務と実績は正社員と同じように書いて問題ありません。パート経験を中心にまとめる場合は、アルバイト・パートの職務経歴書の書き方も参考になります。
採用担当者に響く介護職の自己PR例文

自己PRは「強み→具体的なエピソード→数字→応募先での活かし方」の順にすると、読み手に伝わりやすくなります。
例文1:認知症ケアの経験をアピール
「認知症の方の行動の背景を探ることを大切にしてきました。夕方になると帰宅を訴える利用者様に対し、生活歴をご家族から伺い、以前の仕事に近い役割(洗濯物たたみ)をお願いしたところ、落ち着いて過ごせる時間が増えました。貴施設のユニットケアでも、一人ひとりの生活歴に寄り添った支援に取り組みたいと考えています。」
例文2:チームづくり・業務改善をアピール
「フロアリーダーとして、申し送りの記録様式を見直し、口頭の伝達漏れを減らす取り組みを行いました。導入後3か月で、ヒヤリハット報告のうち伝達ミスが原因のものが約半数に減少。貴施設でも、職員が働きやすいチームづくりに貢献したいと考えています。」
数字が思いつかないときのヒント
- 担当していた利用者数・フロアの人数
- 夜勤の回数・勤続年数
- 指導した新人の人数・委員会の参加年数
- 企画したレクリエーション・行事の回数
書類選考で落ちやすいNG例と提出前チェック
実際によくある失敗は、熱意が先行して具体性が抜け落ちるケースです。「利用者様の笑顔のために頑張りました」だけでは、ほかの応募者との差が見えません。
| NG例 | 改善例 |
|---|---|
| 介護業務全般を担当 | 食事・入浴・排泄介助、移乗、ケース記録を担当(要介護3〜5中心) |
| 夜勤あり | 夜勤月4〜5回(16時間夜勤・2名体制) |
| リーダー経験あり | フロアリーダーとして職員8名のシフト作成と新人2名の指導 |
| ヘルパー2級 | 介護職員初任者研修修了(旧ホームヘルパー2級)と正式名称で |
提出前チェックリスト
- 施設形態・定員・介護度・夜勤体制を書いたか
- 資格は正式名称と取得年月になっているか
- 前職の利用者名や施設の内部情報など、個人情報を書いていないか
- 履歴書の職歴と在籍期間が一致しているか
- 応募先の施設形態に合わせて、強調する経験を入れ替えたか
応募先探しと並行して書類を整えるなら、介護の転職エージェントおすすめ2026で紹介している書類添削サービスを活用するのも効率的です。
介護職の職務経歴書に関するよくある質問
Q. 介護職の職務経歴書は必ず提出が必要ですか?
履歴書のみで応募できる事業所も多いですが、提出を求められていなくても添付すると経験を詳しく伝えられます。特に経験者の転職では、職務経歴書の有無で評価が変わることがあります。
Q. 手書きとパソコン、どちらがよいですか?
指定がなければパソコン作成で問題ありません。修正がしやすく、施設形態に合わせて内容を差し替えるのも簡単です。
Q. 短期間で辞めた職場も書くべきですか?
職歴は省略せずに書くのが原則です。在籍期間が短い場合は「家族の介護のため」など、簡潔に退職理由を添えておくと誤解を防げます。
Q. 派遣で複数の施設に勤めた場合はどう書きますか?
派遣元の会社名を見出しにして、その下に派遣先の施設形態と期間をまとめて書くと読みやすくなります。
Q. 自己PRに書くことが見つかりません。
利用者やご家族、同僚から感謝された場面を思い出してみてください。そのとき自分が工夫したことが、そのまま強みの根拠になります。
Q. 職務経歴書は何枚までが適切ですか?
A4で1〜2枚が目安です。3枚以上になる場合は、応募先に関係の薄い経歴を簡潔にまとめ直しましょう。
経験が伝わる一枚で次の職場へ
介護職の職務経歴書は、文章のうまさより「どんな現場で、どれだけの経験を積んだか」が伝わるかどうかで評価が決まります。まずは今の職場の定員・介護度・夜勤回数をメモに書き出し、5つのブロックに沿って下書きを作ってみてください。応募先ごとに強調する経験を入れ替えれば、書類選考の通過率は着実に上がっていくはずです。

