「高卒だと書類で落とされるのでは」「今の職場を辞めたいけれど、大卒と比べて選べる求人が少ないのでは」。高校を卒業して数年働いたあと、転職を考え始めた人の多くがこうした不安を抱えています。
実は、厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」では、高卒就職者の3年以内離職率は37.9%。およそ2.6人に1人が3年以内に最初の職場を離れており、高卒からの転職はまったく珍しい動きではありません。問題は「辞めること」ではなく、「次をどう選ぶか」にあります。
この記事でわかること:
- 高卒の平均月給と、転職で年収を上げやすい職種
- 20代前半・20代後半・30代以降で変わる転職の戦い方
- 高卒の転職で評価されやすい資格と取得にかかる期間
- 高卒向けに強い転職エージェントの選び方と使い分け
- 書類選考・面接で学歴の不利を埋める具体的な伝え方
高卒の転職市場2026 年収データと「不利」と言われる本当の理由
まずは数字で現在地を確認しておきましょう。厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、学歴別の平均賃金(月額)は次の通りです。
| 区分 | 高校卒の平均月額賃金 | 年収換算の目安(賞与除く12か月) |
|---|---|---|
| 男女計 | 28万8,900円 | 約347万円 |
| 男性 | 31万3,200円 | 約376万円 |
| 女性 | 23万7,700円 | 約285万円 |
この金額は全年齢の平均なので、20代前半なら月20万円前後というケースも多く見られます。そのため「同じ仕事をしているのに、大卒の同期より手取りが少ない」という悩みが転職のきっかけになりやすいのも当然でしょう。
「高卒は不利」と言われる3つの場面
- 応募条件で「大卒以上」と書かれた求人に出せない:総合職・企画職・大手企業の本社採用に多く見られます
- 求人サイトの検索で絞り込まれる:学歴条件で自動的に除外されることがあります
- 職務経歴が短く、強みを言語化しにくい:工場・販売・サービス業の経験を「誰でもできる仕事」と自己評価してしまうケースです
逆にいえば、学歴不問の求人に的を絞り、経験を正しく言葉にできれば、不利は大きく縮まります。人手不足が続く業界では、学歴よりも「すぐ現場に慣れる力」「辞めずに続ける力」を重視する企業が増えているのが現状です。
年代別に変わる転職の戦い方
| 年代 | 企業が見ているポイント | 狙いやすい方向性 |
|---|---|---|
| 20代前半(18〜24歳) | 素直さ・吸収力・基本的なビジネスマナー | 未経験職種へのポテンシャル採用、第二新卒枠 |
| 20代後半(25〜29歳) | 社会人経験の中身・再現性のある成果 | 同業種でのキャリアアップ、資格を活かした職種転換 |
| 30代以降 | 即戦力性・マネジメント経験・専門資格 | 経験職種の上位ポジション、資格必須職への転身 |
高卒で働き始めた人は、同じ25歳でも大卒より社会人歴が4年ほど長い点が強みになります。「7年間同じ工場で品質管理をしてきた」という経歴は、新卒3年目の大卒よりも具体的な実績を語れる材料です。
高卒から年収アップを狙いやすいおすすめ職種

学歴不問の求人が多く、経験や資格で給与が伸びやすい職種を挙げます。月給はあくまで求人票で多く見られるレンジの目安です。
施工管理(建設・設備)
建設業界は技能者・技術者の高齢化が進み、未経験者を育成前提で採用する企業が増えています。未経験スタートの月給は22万〜28万円程度が多く、2級施工管理技士を取得すると資格手当が月1万〜3万円加算されるケースが一般的です。現場の朝が早い(7時台集合も多い)点はデメリットですが、経験年数に比例して収入が上がりやすい職種です。
ITエンジニア(インフラ・テスト・サポート)
プログラミング経験がなくても、サーバー監視やテスト担当から入れる求人が一定数あります。入口の月給は20万〜25万円程度ですが、3〜5年で設計や構築に進めば年収400万〜500万円台も十分に狙える水準です。独学だけで不安な場合は、IT職種に特化したIT転職エージェント@PRO人のような専門エージェントに相談すると、未経験可の求人の見極めがしやすくなります。
製造業の技術職・設備保全
工場勤務の経験がある人は、ライン作業から設備保全や品質管理へステップアップする道があります。電気工事士やフォークリフト、危険物取扱者などの資格があると評価されやすく、夜勤手当込みで年収450万円以上の求人も珍しくありません。メーカー・製造業に特化したメーカーズジョブは、製造現場の経験を棚卸ししてくれる点が心強いところでしょう。
営業職(法人営業・ルート営業)
営業職は学歴不問の求人が多く、成果がインセンティブに反映されやすい職種です。販売・接客経験がある人はコミュニケーション力をそのまま活かせます。ルート営業なら新規開拓のプレッシャーが比較的少なく、普通自動車免許があれば応募できる求人が中心です。
事務職(一般事務・営業事務)
人気が高く倍率は上がりやすいものの、MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)や日商簿記3級を持っていると書類通過率が変わってきます。月給は18万〜23万円程度とやや低めなので、年収アップよりも「土日休み・残業少なめ」を優先したい人向けです。
高卒の転職で評価されやすい資格と取得期間の目安

学歴の代わりに「この分野を本気で学んだ」という証明になるのが資格です。忙しい社会人でも取りやすく、求人で評価されやすいものを整理しました。
| 資格名 | 学習期間の目安 | 受験料の目安 | 活かせる職種 |
|---|---|---|---|
| MOS(Excel・Word) | 1〜2か月 | 1科目 1万円台 | 事務・営業事務 |
| 日商簿記3級 | 2〜3か月 | 3,300円(税込) | 経理・事務 |
| ITパスポート | 1〜3か月 | 7,500円(税込) | IT・事務全般 |
| 第二種電気工事士 | 3〜6か月 | 9,300円前後 | 設備保全・ビル管理 |
| 2級施工管理技士(第一次検定) | 3〜6か月 | 種目により異なる | 建設・設備 |
受験料は改定されることがあるため、申し込み前に各試験の公式サイトで最新額を確認してください。
独学と通信講座の選び方
MOSやITパスポートは市販テキストと過去問で合格を狙えます。一方で施工管理技士や電気工事士は実技・記述が絡むため、通信講座を使う人が多い分野です。施工管理技士なら独学サポート事務局のような受験対策講座、MOSなら合格までの学習計画を組んでくれるハロー!パソコン教室のオンライン講座といった選択肢があります。資格選びに迷う場合は、複数スクールの資料を一括で比較できる資格スクールの資料請求サービスを使うと、費用と期間の比較が短時間で済みます。
資格を取る前に決めておくこと
「とりあえず資格」は遠回りになりがちです。先に応募したい求人を10件ほど眺め、そこで「歓迎」「必須」と書かれている資格を逆算して選ぶと、学習時間が無駄になりません。
高卒向け転職エージェントの選び方と使い分け

求人サイトで学歴条件に弾かれやすい高卒の転職では、転職エージェント(求職者と企業の間に立ち、求人紹介から面接調整まで無料で支援するサービス)の活用が近道になります。エージェント経由なら、担当者が企業に「学歴より人柄と経験を見てほしい」と推薦してくれる場合があるためです。
年代・状況別のおすすめタイプ
| 状況 | 向いているエージェントのタイプ | サービス例 |
|---|---|---|
| 正社員経験が少ない・フリーター期間がある | 既卒・フリーター特化型 | UZUZ既卒 |
| 社会人3年未満で辞めたい | 第二新卒特化型 | UZUZ第二新卒 |
| 20代でキャリアの方向性から考えたい | 20代向けキャリア設計型 | 猫の手AGENT |
| 自分に合う担当者を選びたい | エージェントマッチング型 | 転職AGENT Navi |
| IT・製造など職種が決まっている | 業界特化型 | IT転職エージェント@PRO人、メーカーズジョブ |
エージェントを使うときの3つのコツ
- 2〜3社を併用する:担当者との相性や保有求人に差があるため、1社だけに頼らないほうが選択肢は広がります
- 最初の面談で「学歴不問の求人を中心に」と伝える:応募しても通らない求人を紹介される無駄を減らせます
- 希望条件に優先順位をつける:「年収」「休日」「勤務地」のうち譲れないものを1つ決めておくと、紹介の精度が上がります
UZUZのように、面談時間を長めに取って書類添削や面接練習まで伴走してくれる既卒・第二新卒特化型は、初めての転職でも準備の抜け漏れを防ぎやすいでしょう。
書類選考と面接で学歴の不利を埋める伝え方
職務経歴書は「数字」と「工夫」で書く
高卒の職務経歴書でよく見るのが「製造ラインで組立作業を担当」の1行だけ、というパターンです。実際に採用担当者の立場で読むと、これだけでは何ができる人なのか判断できません。次のように書き換えると印象が変わります。
- 改善前:「製造ラインで組立作業を担当しました」
- 改善後:「1日約600個の部品組立を担当。作業手順の見直しを班長に提案し、不良率を月2.1%から1.3%に低減しました」
販売職なら「1日の接客人数」「担当売場の売上」、介護職なら「担当利用者数」「夜勤回数」など、仕事の規模を数字にするのがポイントです。
面接でよく聞かれる質問と答え方
「なぜ大学に進学しなかったのですか」と聞かれることは今でもあります。言い訳や家庭事情の詳しい説明は不要で、「早く社会に出て働きたいと考えて就職しました。その分、○年間の現場経験があります」と前向きに切り返せば十分です。
「前職を辞めた理由」については、不満ではなく「次にやりたいこと」を軸に話します。「残業が多かった」ではなく「資格を取って専門性を高められる環境で働きたい」という言い方に置き換えると、面接官に意欲が伝わりやすいはずです。
転職活動のスケジュール例(在職中の場合)
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1か月目 | 自己分析・エージェント2〜3社に登録・面談 |
| 2か月目 | 職務経歴書の作成・添削、10〜20社に応募 |
| 3か月目 | 面接(週1〜2回)・内定獲得・条件交渉 |
| 4か月目 | 退職交渉・引き継ぎ・入社準備 |
在職中の転職活動は平均で3〜4か月かかると考えておくと、焦って妥協するリスクを減らせるはずです。
高卒の転職に関するよくある質問
Q1. 高卒で転職すると年収は下がりますか?
未経験職種に移る場合は、最初の1〜2年は横ばいか一時的に下がることがあります。同業種での転職や、資格手当がつく職種を選べば、転職直後から月1万〜3万円上がるケースも珍しくありません。
Q2. 高卒から大手企業に転職できますか?
本社の総合職は大卒条件が多いものの、工場・物流拠点・販売部門の正社員や、グループ会社の採用では学歴不問の求人もあります。期間従業員から正社員登用を目指すルートを用意している大手メーカーも見られます。
Q3. 転職回数が2回以上あると不利ですか?
20代で2回程度なら、それだけで書類落ちになることは多くありません。ただし短期離職が続く場合は、「なぜ辞めたか」より「次は何を軸に長く働くか」を明確に話せるよう準備しておきましょう。
Q4. 高卒認定や通信制大学に通ってから転職したほうがいいですか?
応募したい求人の多くが大卒条件なら検討の価値があります。ただ、通信制大学の卒業には最短でも4年程度かかるため、今すぐ転職したい場合は資格取得のほうが現実的です。
Q5. 転職エージェントは高卒でも使えますか?
使えます。特に既卒・第二新卒・20代特化型のエージェントは、高卒の求職者を多く支援しています。ハイクラス向けのエージェントでは求人を紹介されにくいことがあるため、自分の経歴に合うタイプを選ぶのがポイントです。
Q6. 30代の高卒でも未経験職種に転職できますか?
可能ですが、20代よりは選択肢が絞られます。施工管理・介護・ドライバーなど人手不足の業界や、これまでの経験を一部活かせる職種を選ぶと成功率が上がります。
Q7. 在職中と退職後、どちらで転職活動をするべきですか?
収入が途切れない在職中の活動がおすすめです。退職後に始めると、貯金が減る焦りから条件を妥協しやすくなります。心身の不調があるなど続けられない事情がある場合は、退職を優先して構いません。
高卒からの転職を成功させるために今日からできること
高卒の転職は「学歴で勝負しない」と決めた時点で、戦い方がはっきりします。学歴不問で経験や資格が評価される職種に的を絞り、これまでの仕事を数字で語れるように整理する。この2つだけでも、書類選考の通過率は大きく変わります。
まずは今週中に、気になる求人を10件ブックマークして共通する条件を書き出してみてください。そのうえで、既卒・第二新卒特化型や業界特化型の転職エージェントに1〜2社登録して面談を受けると、自分の市場価値と次に取るべき資格が具体的に見えてきます。

